あの荒れ地はどうなるかと心配していたら、彼の執念といえるほどの継続的な努力で、夏過ぎには見事な畑になりつつあった。
もちろん、幾多の失敗例経験しながら。
結局芽を出さなかったニンジン、なかなか伸びてこない根深ネギなど、ガッカリすることを飲み込んできた。
しかし、みなさんに励まされていた。
ご近所でも、
「頑張ってるやん」
と声をかけられたり、苗を分けてもらったり。
夏を過ぎ、秋の声が聞こえる頃のある会合で、ニヤリと笑いながらご近所の方に、言われた。
「トマト植えてるやん」
「そうなんすよ、季節外れの」
彼は、母に食べさせたいと、かなり遅れてトマトを植えた。
通りに面して、みんなが観ていく石の下のトマトと弟は我が町でも有名になった。
通りがかりのみなさんから、
「今ごろトマト?」
と声をかけられるのは、デビュー間なしの彼にはつらかったみたい。
秋にカンカン照りにでもなれば起死回生もあったかもしれないが、雨が続き、晴れ間は限られ、季節外れのトマトは一向に赤い実りをつけなかった。
彼は、いちいち季節外れを指摘されるのに疲れ、中が見えないネットでトマトの畝を全て覆った。
やがて、真っ青な空の下で太陽のエネルギーをいっぱいにもらったザクロはバックリと割れ、金木犀は妖艶な香りをさっさとしまいこんで散り、冬の空気が立ち込めるようになった。
つづく
もちろん、幾多の失敗例経験しながら。
結局芽を出さなかったニンジン、なかなか伸びてこない根深ネギなど、ガッカリすることを飲み込んできた。
しかし、みなさんに励まされていた。
ご近所でも、
「頑張ってるやん」
と声をかけられたり、苗を分けてもらったり。
夏を過ぎ、秋の声が聞こえる頃のある会合で、ニヤリと笑いながらご近所の方に、言われた。
「トマト植えてるやん」
「そうなんすよ、季節外れの」
彼は、母に食べさせたいと、かなり遅れてトマトを植えた。
通りに面して、みんなが観ていく石の下のトマトと弟は我が町でも有名になった。
通りがかりのみなさんから、
「今ごろトマト?」
と声をかけられるのは、デビュー間なしの彼にはつらかったみたい。
秋にカンカン照りにでもなれば起死回生もあったかもしれないが、雨が続き、晴れ間は限られ、季節外れのトマトは一向に赤い実りをつけなかった。
彼は、いちいち季節外れを指摘されるのに疲れ、中が見えないネットでトマトの畝を全て覆った。
やがて、真っ青な空の下で太陽のエネルギーをいっぱいにもらったザクロはバックリと割れ、金木犀は妖艶な香りをさっさとしまいこんで散り、冬の空気が立ち込めるようになった。
つづく