弟を連れて畑に行ってみる。
うーん、なかなか手強い荒れかた。
うちの畑は大きさが中途半端。
しかも土の質が乾くと石、水を含むと粘土のようになるので、軽く小型の耕運機では役に立たんというので、スコップと三つ爪の備中鍬を使用。
かなりの重労働。
先ずはパチンコ屋裏、本格的な猛暑の前にダダダッと耕す。
父の葬儀のあとの特別休暇は、いくつかの用事を片付けたら、供養だと思って畑に出た。
「無理すなよ、畑はボチボチやらんとあかんよ」
弟に教えると、少しは興味を持ったようなので、一緒にいろいろやり始めた。
ご近所の方のアドバイスで、里芋を植え替え、間に合う夏野菜をパパバっと植えると、パチンコ屋裏は割りと早く畑らしくなってきた。
ちょうど、父が仕込んでおいてくれたえんどう豆が大量に採れた。
植える楽しみ、耕す厳しさ、育てる忍耐とお世話、収穫のよろこびを短期間で味わえたのが良かったのかもしれない。
下の弟は、畑仕事にのめり込んでいく。
俺が不在の間に、ちょいと用事を頼んでおくと、几帳面にやっておいてくれる。
とてもありがたいが、ハマルたちらしい。
長時間畑で働いて、体調を崩したことがあって、母が、
「シベリアの抑留のようにこきつかうのはやめて」
と泣いて俺に懇願する。
そやからボチボチやと言うたのに。
しかし、弟はリタイアすることなく休日の早朝から畑に出るようになっていった。
真夏とのつきあい方がわかってきたみたい。
「夏は二時間までと決めてんねん」
つづく